トークンありプロダクト

オタクコインは何からの「非中央集権化」を実現するのか

今回はTokyo Otaku Modeが昨年構想を発表した「オタクコイン」のトークン構造について調べてみたいと思います。もっとも、まだ構想段階で情報量も少ないので、ブロックチェーン関連イベントでの口頭発表や細かな発信から深読みを試みてみようかと。

Tokyo Otaku Mode社(以下、TOM社)は以前から有名なスタートアップです。Facebookファンをグローバルで2000万人集めた、Facebookマーケがうまい会社として認知されています。この発信力を活かして、海外向けオタクショップとしてEコマースをやっている会社です。自社での物流などにかなり力をいれているという発表を聞いたことがあります。

ありものの商品を海外向けに販売するだけではなくて、商品自体を作って販売することもしているようです。平均購入単価は100ドル。毎月15,000件以上の海外配送があり、商品点数も4万点を超えています。

そんなTOM社が昨年末に構想を発表したのが「オタクコイン」です。
公式サイトはこちら。

ピコピコ感がある背景画像が楽しい

アニメの視聴・コンテンツのシェア・コンテンツのレビューなどをするとコインがもらえ、このコインは買い物やプロジェクト支援やクリエイター支援に使える、とうたわれています。前半の方はリワード広告などの構造に近いですね。後者はファンディングとECでしょうか。ぱっと見る限り、TOM社による中央集権プロジェクトのようにも見えます。

オタクコインの構造

昨年末のティザーサイト公開の時によく見られたネットの反応としては「現金のような安定した通貨でやったほうがよいのでは」「モナコインで良い」「TOM社が儲かるだけでは」など。

発表直後のツイッターの反応。モナコイナーが多そう。

ホワイトペーパー公開前のプロジェクトで詳細については想像になってしまうので、論考は一番後ろにするとして現在分かっている概要を先にまとめます。

プロダクト進捗

構想段階。

2018年2月に公開された安宅氏へのインタビューによると、”ICOをせずに仮想通貨を創出することを草の根プロジェクトとして進めることも検討”とあります。

プロダクト概要

主にアニメ業界で使える独自コイン。アニメの視聴・シェア・レビューなどの普及活動を行うとコインがもらえ、グッズの購入・プロジェクト支援・クリエイター支援に使うことができる。
トークン建てでリワードの配布&ファンディングを実現する。

トークンの分類

基本的にはPayment tokenだが、投票機能などを検討しているようなのでutility性も持つ。
ERC20でやるのか、ほかの仮想通貨をフォークしてやるのか検討中とのこと。

トークンの用途

アニメの視聴・シェア・レビューなどの普及活動に対するリワードの配布。
グッズの購入・プロジェクト支援・クリエイター支援における決済。

主なスケジュール

ホワイトペーパーを2018春夏に公開、2018夏秋にプロジェクトを開始する予定。

主なメンバー

TOM社の中で本プロジェクトに関わる具体的なチーム構成は不明なので、本プロジェクト関連で登壇経験がある方をピックアップ。

小高奈皇光
共同創業者 / CEO
メリルリンチ→ガイアックスCFO→現職。

安宅基
COO
ゲーム系編プロ、アドネットワーク営業などの傍ら個人でプロダクト開発を行い、「Q&Aなう」を法人化の後にオウケイウェイヴ社にバイアウト。

坂入広和
事業開発室 プロデューサー
元ミクシィ。TOM社では全世界対応型クラウドファンディングサービス「Tokyo Mirai Mode」事業開発プロデューサーなどを歴任。

———-以下、推測———-

オタクコインは何からのdecentralizeを目指すのか

一般的に、仮想通貨を作ってICOする際には、それが分散型経済を実現するプロトコルなのかを問われます。現状ではオタクコインベースのDApps構想などは発表されていませんが、各種インタビューなどでは「中抜きされない」という言葉が多く使われています。

たとえば、公式mediumの『オタクコイン準備委員会活動レポートVol.1』のQ&Aでは、以下のような記述があります。

“ブロックチェーン技術やスマートコントラクトによって、”中抜き”されないことを担保した上で、ファンが直接アニメに携わるクリエイターやアニメ製作委員会に支援できるような仕組みを、仮想通貨の設計段階で組み込むことができます”
“世界中にファンを抱え、かつアニメ業界とのつながりもある企業体であるTokyo Otaku Modeや共同参画者が窓口となることで、公式的にクリエイターやアニメ製作委員会などへ資金提供を、契約に則って行えます”

オタクコインは代理店主導の製作委員会を殺せるか

これらの文面から推測すると、広告代理店や大手メディアという”中央集権”からのdecentralizeが実現され得る……と私は考えました。まずはオタクコイン建てでアニメの制作委員会に出資ができるように、という程度でしょうが、そもそもスマートコントラクトを活用して製作委員会方式自体をリプレイスできたら、これは明らかに非中央集権化となります。

製作委員会への参加企業がアニメの宣伝にコミットする構造も、製作委員会に出資した個人含めた各プレイヤーが宣伝をがんばることで、置き換えうるとも考えられます。さすがに広告代理店や大手メディアを敵に回すことは現状のビジネス上難しいかと思われますが、いまのところアドバイザーに名を連ねるプレイヤーで大手メディアというと…小学館くらいでしょうか。

こういった座組で、SNSでのバズで想定外のヒットとなった「けものフレンズ」のような草の根からのヒットが生まれたら、それは非中央集権派にとって良い未来なのではないかと思います。

もっとも、すべて憶測に過ぎませんが……。ミートアップ等に参加して、最新情報が分かり次第またレポートしたいと思います。

ユーザーの職歴情報等のアプリ間共有をトークンで促すdock.io

dock.ioは、職歴やスキル・レピュテーション情報・ビジネスネットワークなど、仕事関連の情報に特化した分散型データ取引プラットフォームです。各アプリケーションはこのプロトコルを通じて各ユーザーの情報を他のアプリケーションに共有しトークンで対価を得ることができるが、どのアプリケーションに情報を共有するかは個人が選択できる仕組み。ユーザーが対価を得られるというわけではなく、あくまで高い利便性を提供することで報いるモデルです。

個人の仕事探し、レピュテーションの構築、ネットワークの構築などに便利な中央集権型プラットフォームが普及した結果、大量のデータが特定のプラットフォームに囲われてしまった。そのデータがプラットフォームにとってマネタイズの源泉であるがゆえに開放されないことに問題意識を持ち、分散型のデータ取引のプロトコルを作ったようです。

日本のDatachainもそうですが、このパターンはジャンルごとに分散型のプロトコルがでてきそうですね。これからジャンルごとに乱立するのか、それともどこか一社がマルチジャンルで勝っていくのか。結局やることって情報をセキュアにしてブロックチェーンにのっけて、取引用にERC20準拠のトークン用意して、それ上場させて法定通貨へ交換できるようにして、となるのですよね。

プロダクト進捗

ICO終了済。ICOは2018年2月に実施され、集めた金額は30%の放出で$20 Million、約21億円。つまり時価総額は70億。
プロダクトはα版が公開されていますが、ユーザー情報を登録できるだけで、肝心のアプリケーションとの連携は準備中のようです。

プロダクト概要

職歴やスキル・信用情報・ビジネスネットワークなど、仕事関連の情報に特化した分散型データ取引プラットフォーム。

メインメニュー。Profile/Reviews/Networkが三本柱か。

トークンの分類

投票用途などもありutility tokenといえますが、paymentの要素が強そう。

トークンの用途

dock.ioプロトコルを通じてアプリケーション間でデータの売り買いを行うときの決済に使う他、dock.ioの重要な意思決定における投票機能なども。

トークンによる報酬設計についてはホワイトペーパーに記載があります。よくわからなかったので、モデル図を張っておきます。

データ共有の流れ。

ユーザーが情報取引を許諾する流れ。よくわからない…

シェア等をがんばると稼げる、というのはこの手のプロダクトでは定番ですが、表示が分かりやすかったです。自社トークンでリワード配れると楽ですよね。ICOしてればなおさら。

リワード配布のまとめ。わかりやすい

主なスケジュール

すでにα版の公開がされており、ICOも完了。2018年2Qには既存アプリケーションとの連携がはじまるようです。
以下記事が詳しいです。
https://medium.com/dock-io/our-roadmap-b3c7c6921c8e

ロードマップ図。過去のしかのってないのでmedium記事で最新情報の確認を。

トークンの配分

ICO分は30%で、チームやアドバイザーの報酬分は2年のべスティング条項あり。

トークンの分配について、インセンティブ付与用には30%を確保

主なメンバー

Nick Macario – Co-Founder
連続起業家でexit経験あり。前回はプロフェッショナル向けSNSのbranded.meを運営しており、これはremote.comとしてdock.ioと連携予定になっています。

アプリケーションとの連携画面はまだ動いておらず。ファウンダー運営のremote.comなどが予定に並んでいます

※remote.comドメイン取得に関する記事が興味深かったです
https://www.namepros.com/blog/inside-interview-why-this-company-paid-six-figures-for-remote-com.1013432/

Elina Cadouri – Co-Founder
複数回起業経験があり、マーケットプレイスの運営経験が豊富。前回はOutsource.com。

ブロックチェーンで機密データ取引PF Datachain

デジタルマーケティング支援やメディアなど多数事業を手がけるSpeee社が、ブロックチェーン技術を活用したデータマネジメントプラットフォームの構想を発表しました。プロジェクト名はDatachain。

取引を独自トークン建てで行うようです。Speee社といえばかつてはSEO事業で有名でしたが、今は多彩な事業を手がけているようです。きちんと開発体制がある大きな会社がこのような事業にチャレンジされるのは興味深いです。未上場ならではのトライともいえるかもしれません。

公式サイトはこちら。
Speee社ファウンダーの久田さんが責任者とのこと。今回の構想発表にあたってのmedium記事が面白かったです。

上記2サイトから調べた概要をざっくりとまとめます。

プロダクト進捗

2018年夏から実証実験開始を予定
ICO予定はないが仮想通貨交換業の登録申請は準備中。

プロダクト概要

ブロックチェーン技術を活用したデータマネジメントプラットフォーム。各社が保有する機密データを匿名化した状態でプライベートチェーンに記録し、独自トークン建てで利用権の取引が行える。データ取引マージンは無料。

データを活用したDAppsが作れるようになっており、初期は無償、グロース後の手数料がデータプロバイダにレベニューシェアされる。

暗号化&匿名加工情報化してブロックチェーンに保存するため、プラットフォーマーも匿名化されていない情報を見ることができない。そのため、購買データや会員データなどの重要なデータも含めて預けられるのが優位点。また、スマートコントラクトでデータのマスキング有無、誰への利用を許可するかなどもコントロールできる。

トークンの分類

独自トークンであるDatachain Tokenは当該プラットフォームにおける基軸通貨として機能する。決済トークン。

トークンの用途

データプロバイダはデータを預けるときにトークンを得る。また利用者はトークンを購入してデータの取引を行う。

主なメンバー

久田哲史
2007年Speee創業時の代表取締役で、現在は新規事業に専念するために代表を交代して取締役。

ORIGIN 分散化シェアリングエコノミーをDappsで

非中央集権型シェアリングエコノミープラットフォームのORIGINについて調べました。decentralizedの流れの中で、国家だけではなくて大手プラットフォームもまた分散化の圧力を受けていく流れですね。ORIGINはAirbnbやUberの分散化を目指すプロジェクトですが、ファウンダーが過去に自分のプロダクトをUberに潰された、というあたりが発想の起点であるようです。

公式サイトはこちらから。

プロダクトブリーフが分かりやすかったです。ホワイトペーパーは数式含みで英語ですが、だいたいのことはこのPDFで理解できました。日本語版のアクセスはこちらから。

以下、要点のまとめです。

プロダクト進捗

ベータ版公開前。プレセール前。デモ公開済。

プロダクト概要

非中央集権型のシェアリングエコノミープラットフォーム。中央集権型のプロバイダーの独占による弊害を取り除き、手数料の減額・顧客および取引データの共有・検閲や規制を減らした分散型市場を実現する。

プラットフォーム手数料で40%弱抜かれることを指摘

Originアカウントとデータ共有の仕組みを持ち、アプリケーションはDappで実現される。Dappはサードパーティにも開放され、Originのアカウントとデータを利用できる。

アカウントとデータを共有し、アプリケーションはDapp。

トークンの分類

プラットフォーム内の様々な用途に使われるユーティリティトークン

トークンの用途

・ユーザー作成など重要なアクションをするときに少額のトークンを必要とすることで、スパムを防ぐ
・新規ユーザー紹介に対するトークン報酬付与などを通じて、プラットフォームが期待する行動に対するインセンティブとする
・DAppの開発者がOriginトークンで会費を請求するなどを期待する
・Originプラットフォームの重要な意思決定を行うための投票トークンが保持数に応じて付与される

サービス上の通貨について

Etherがメインで利用されると想定しているが、他のERC20トークンをサポート。取引におけるエスクローサービスなどがスマートコントラクトを用いて実現可能。

主な調達用途

ロードマップ。現時点でベータ公開直前か


非営利団体として分離して運営するコミュニティファンドの創設に使用する。開発者へのサポート資金投資などに利用される。

主なスケジュール

2018年3月にパブリックベータ、2018年3QにサードパーティDAppリリース

主なメンバー

Matthew Liu
共同創業者。プロダクト・ビジネスエグゼクティブでフルスタックエンジニア。
Youtubeの25番目の社員、収益化チームを立ち上げ、その後複数のスタートアップで製品担当副社長を担当。
Unicycle LabsのCEOとしてライドシェア用ツールを立ち上げたがUberに潰されたことで本ビジネスを着想。

Joshua Fraser
共同創業者。連続起業家でテクニカルエグゼクティブ。
2010年から暗号通貨コミュニティのメンバーで、オープンソースプロジェクトの開発指揮やスタートアップの創設、CTOなど歴任。
Airbnbの元ホスト。